気候変動(TCFD)

気候変動に関する体制

気候変動にかかる責任者

SGホールディングスグループでは、気候変動にかかるグループの方針や対応についての統括責任者を代表取締役社長が担っています。気候変動に関する課題は、代表取締役および取締役が委員を務めるサステナビリティ委員会で報告・議論され、必要に応じて取締役会に報告されます。

リスクマネジメント

気候変動リスクは当社グループのリスクマネジメントに組み込まれており、年1回のアセスメントを行っています。

CO2排出量実績

CO2排出量推移
  • ※
    GHG排出量データの詳細はESGブックをご覧ください

脱炭素に向けた取り組み

  • 車両からの排出削減

    環境対応車(EVなど)の導入

    SGホールディングスグループでは、環境への負荷が少ない車両の導入を推進しています。
    佐川急便ではEV軽自動車を順次導入していく予定で、排気ガスに含まれる大気汚染物質(窒素酸化物・粒子状物質など)が少ない天然ガストラックや、燃費の良いハイブリッドトラックなども導入しています。

    保有車両内訳(国内)

    2026年3月末時点
    電気 ハイブリッド 天然ガス クリーンディーゼル 水素 その他 合計
    154台 2,948台 1,159台 2万3,608台 27台 921台 2万7,896台

    電気トラック

    ハイブリッドトラック

    FCVトラック

    冷蔵冷凍EVトラックの導入

    名糖運輸では、気候変動に関する課題に対し、次世代技術の導入による持続可能なコールドチェーンの実現に繋げるため、ゼロエミッションであるBEV(バッテリー式電気自動車)を導入し、将来のカーボンニュートラルに向けた業務運用を開始しています。試算では、1日65km運行で、同格のディーゼルトラックに比べ、年間のCO2を21%削減できます。また、一部の拠点ではEVの充電に再生可能エネルギー由来の電力を活用することで、さらなるCO2排出量の削減に取り組んでいます。
    特に食品のコールドチェーンでは、貨物庫内を冷凍装置で常時低温に保ち、食品の安全・安心を担保しているため、より多くのエネルギーを使用します。環境課題と物流品質の両方を実現可能とする取り組みを進めています。

    冷凍冷蔵EVトラック

    新たな大型冷凍車両の導入

    ヒューテックノオリンでは、気候変動や将来の輸送能力不足などの課題に対応するため、7つの技術で低燃費・積載効率・物流品質の3つを向上させることを実現した新たな大型冷凍車両を導入しています。

    機能 製造社 低燃費 積載効率 物流品質 効果
    (1)ハイブリッドシステム 日野自動車 〇 新燃費基準 JH25モード
    目標基準値達成
    (2)ショートキャブ 〇 積載可能パレットを16→18枚へ増
    (3)電動冷凍機 DENSO 〇 〇 CO2排出量
    約16t-CO2/年削減可能
    (4)高性能断熱材 矢野特殊自動車 〇 〇 〇 前後の断熱壁は標準比半分の薄さ
    (5)エアーサーキュレーション 〇 〇 庫内温度のバラつきをなくし、均一に冷却可能
    (6)モーダルシフト対応 〇 〇 RORO船への乗車可能
    (7)ロジソーラー システック 〇 〇 燃費削減

    新たな大型冷凍車両

    輸配送の効率化

    SGホールディングスグループは、輸配送システム全体でGHG排出量の削減に取り組んでいます。
    例えば、中継センターや佐川流通センター(SRC)を活用し、トラック使用台数を抑制することで、物流効率化を推進しています。2020年には、「次世代型大規模物流センター『Xフロンティア』別タブで開く 」内に、関東圏の複数の中継拠点を集約した中継センターが稼働しました。

    中継センター(佐川急便)

    中継センターの設置によりトラック台数を削減することができます。

    中継センターなしの場合、各地域から直行便で荷物を運ぶ必要があります。中継センターを設置した場合、各地域から、中継センターに荷物を集約し、行き先ごとにまとめて運びます。

    佐川流通センター(SRC)

    SRCは佐川急便の営業所と直結した物流施設で、各工程間のトラック輸送の削減が可能です。

    佐川流通センター(SRC)の運用フロー図

    サービスセンターの設置

    佐川急便は、トラックなどを使用せず台車や自転車などで集配を行う「サービスセンター(SC)」を全国に設置しています。また、営業所やサービスセンターでけん引タイプの電動アシスト自転車「TRIKE CARGO(トライクカーゴ)」を導入しています。「TRIKE CARGO」は最大積載量150kg※であり、自動車を使わずに一度に多くの荷物を運ぶことができます。
    こうした取り組みにより、全センター合計で車両約1,500台分のCO2や大気汚染物質を排出削減しています。

    • ※
      東京都など(各都道府県などの条例により異なります)

    サービスセンターを設置した場合

    TRIKE CARGO(トライクカーゴ)

    モーダルシフト

    佐川急便ではトラックによる貨物輸送を、列車や船の輸送など環境に対する負荷が少ない輸送方法に切り替えるモーダルシフトを推進しています。モーダルシフトは、CO2排出量の削減だけでなく、一度に多くのものを運べるため、省力化・省人化にも貢献しています。

    列車による輸送

    スーパーレールカーゴ
    2004年より、日本貨物鉄道と共同開発した電車型特急コンテナ列車「スーパーレールカーゴ」による宅配便の輸送を実施。東京-大阪間で上下それぞれの便を定期的に運行しており、東京-大阪間の全輸送量の約10%を担っています。上下合わせた合計積載量は10トントラック56台分に相当します。

    電車型特急コンテナ列車「スーパーレールカーゴ」

    飛脚JR貨物コンテナ便
    飛脚JR貨物コンテナ便は、佐川急便と日本貨物鉄道株式会社(以下、JR貨物)が共同で開発した鉄道を使用した輸送サービスです。長距離輸送にトラックではなく環境負荷の低い鉄道を使うため、輸送時におけるGHG排出量を約9割※削減できます。JR貨物と荷主さま・荷受人さまの間に佐川急便が入り、トラックで集荷を行い鉄道コンテナへの積み替えを行うことで、より簡単に鉄道輸送の利用が可能になります。
    • ※
      駅から駅までの輸送に関わるGHG排出量を営業用トラックと比較した数値

    船による輸送

    これまでトラック輸送が主だった関東から九州への幹線輸送を、一部海上輸送に転換する取り組みを行っています。
    東京九州フェリー株式会社、日本郵便株式会社と佐川急便の3社で2022年より実施している「高速フェリーを活用したモーダルシフト」は、第24回物流環境大賞(主催:一般社団法人 日本物流団体連合会)の特別賞を共同受賞別タブで開く しました。
    今回の共同輸送を行うことで、トラック輸送と比較してCO2排出量205.6t-CO2e/年(約59%)の削減、およびトラックドライバーの運転時間6,204時間/年(約90.7%)の削減が見込まれています。

    アイドリングストップ

    佐川急便では、アイドリングストップを1997年より実施しています。お客さまへの配達・集荷でドライバーが車から離れる際や、営業所での荷物の積み降ろし作業中は、キーを抜きエンジンを停止させることで、排出ガスの抑制に努めています。

    バイオディーゼル燃料の使用

    佐川急便は、バイオディーゼル燃料などの製造・販売を行う株式会社ユーグレナと共同で、消費者の意志に基づいてCO2排出量削減の取り組みに参画できる「サステナブル配送プロジェクト」を実施しました。(実施期間:2023年6月~12月)
    本プロジェクトは、お客さま(個人)・荷主(ユーグレナ社)・運送事業者(佐川急便)の三者が費用をそれぞれ負担し、通販における配送の一部に次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を使用することで輸送によるCO2排出量を削減する新しい取り組みです。
    個人のお客さまから合計で845口(1000円/口)のご支援をいただきました。そのご支援金額と同額を両社も拠出し、佐川急便の車両約100台で約8,000リットルの次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を使用することで、4.11トン相当のCO2排出量を削減できました。
    本プロジェクトの結果は、第三者機関による検証を受け、2024年3月31日付で検証声明書を取得しています。

    ニュースリリース

  • 施設からの排出削減

    事業所でのカーボンフリー電力導入

    SGホールディングスグループにおいて物流施設の開発・賃貸・管理を手掛けるSGリアルティは、持続可能なまちづくりへの貢献や脱炭素社会の実現を目指し、環境に配慮した物流施設を開発しています。
    2018年竣工の「SGリアルティ和光」(埼玉県和光市)を始めとして、2021年竣工の「SGリアルティ東大阪」(大阪府東大阪市)、2025年竣工の「SGリアルティ新砂」(東京都江東区)など多くの物件で、「省エネルギー(LED照明や高効率な空調設備を採用)」や「創エネルギー(太陽光発電システム)」などを活用し、夜間など創エネルギーが不足する際に外部から購入する電力をCO2フリー電力※1とすることで、施設内で使用する電力の温室効果ガス排出量をゼロとしています。
    「SGリアルティ新砂」は、環境に配慮したサステナブルな施設として、建物の省エネ性能を評価する第三者機関の審査「BELS」(建築物省エネルギー性能表示制度、Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)で最高ランク5つ星の認証を取得しました。さらに、「SGリアルティ和光」及び「SGリアルティ東大阪」は「BELS」における「ZEB(Net Zero Energy Building = ゼブ)※2」の認証を取得しており、その他多数の物件においても建築環境総合性能評価システム(CASBEE)のAランクを取得しています。

    1. ※1
      CO2フリー電力
      再生可能エネルギー由来の電力や、環境価値証書の活用によってCO2を排出しないとみなせる電力
    2. ※2
      ZEB
      省エネルギーと創エネルギーにより、施設での一時エネルギー消費量が実質ゼロになる建物

    SGリアルティ新砂

    カーポート型太陽光発電設備の導入

    ヒューテックノオリンは、Green Communities株式会社とのPPA契約(電力販売契約)により、東北支店の従業員用駐車スペースにカーポート型太陽光発電設備を導入し電力供給をしています。
    電力供給は年間で約193MWhと、東北支店の消費電力量全体の約6.6%をまかない、年間で約100t-CO2の削減効果があります。
    またカーポート型のメリットとして、夏季の遮熱や冬季の霜防止になり、自動車のアイドリング軽減にも繋がります。さらに荒天時の雨避けにもなり、従業員にも好評です。

    カーポート型太陽光発電設備

    自然冷媒機器への転換

    ヒューテックノオリンは、自社の主要な冷凍冷蔵庫において、その冷却に使用する機器の冷媒を、今後すべて自然冷媒にする「自然冷媒機器への転換」方針を定めています。

    ①新規導入機器についての転換目標
    ヒューテックノオリンは、自社内の主要な冷凍冷蔵機器のうち、新規または更新によって導入する機器の100%を自然冷媒機器にします。
    • ※
      新規導入機器は2023年4月以降、更新機器は2025年4月以降が対象となります。
    • ※
      自社内の主要な冷凍冷蔵機器とは、自社が保有する倉庫登録がなされている保管倉庫を指します。
    ②既設機器を含めた転換目標
    2030年 2040年 既設機器を含めた自社内全ての
    主要冷凍冷蔵機器台数(台)
    主要冷凍冷蔵機器
    (自然冷媒台数)
    71 82 106
    主要冷凍冷蔵機器
    (%)
    68% 100%

    自然冷媒機器

    オフサイトコーポレートPPAの取り組み

    コーポレートPPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)とは、需要家と発電事業者が、小売電気事業者を介し、長期にわたって再生可能エネルギー電力を購入する契約です。またオフサイト型とは、電力を使用する場所から離れたところに各需要家向けの発電設備が設置されるものです。
    ヒューテックノオリンと名糖運輸の関東地区12拠点において、KDS太陽光合同会社が太陽光発電設備によって発電した再生可能エネルギー電力を、小売電気事業者である関西電力株式会社を介して供給を受け、主に冷凍冷蔵倉庫にて利用しています。発電される再生可能エネルギー量は、対象拠点における総使用電力量の約9%に相当します。

    コーポレートPPAスキーム

    コーポレートPPAスキーム
  • 森林資源の活用などによる排出削減および吸収

    森林保全

    高知、徳島の両県において、約800ヘクタールの森林「さがわの森」を管理する佐川林業別タブで開く では、「森林サイクルの循環を守ること」を最大のミッションとして、森林保全事業を行っています。
    これらの森林から創出したカーボン・クレジット(J-クレジット※)を活用し、グループの事業活動に伴うCO2排出量を一部オフセットしています。

    • ※
      J-クレジット制度とは、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2等の排出削減量、適切な森林管理によるCO2等の吸収量を「クレジット」として国が認証する制度です。
    クレジット種別 オフセットした排出量
    2022年度
    J-クレジット
    SGHグループ高知・徳島山林長期経営プロジェクト
    500 t-CO2e
    • ※
      対象範囲:SGHグループの事業活動に伴うCO2排出量(scope1+2)
    • ※
      2023年度以降のオフセットは検討中
  • 脱炭素社会に資する削減施策

    サプライチェーン全体のGHG排出量等の削減に向け、脱炭素につながる、お客さまや協力会社向けの商品・サービスを展開しています。
    また、従業員をはじめステークホルダーに向けたコミュニケーション手段として、動画コンテンツや冊子などを作成しています。

    CO2可視化サービスの導入

    佐川急便では、輸配送に係るCO₂排出量を可視化したレポートを提供する「CO2排出量可視化サービス」を2025年3月より全国で開始しました。お客様コードを基にお預かりから配達までの輸配送に係るCO2排出量を算定するもので、荷物1個単位でレポートの提供が可能です。算定結果は、CO2排出量の現状把握に加え、公開情報や公的機関への提出書類にも活用できるレポート内容となっています。佐川急便はこれからも、サステナブルなサプライチェーンの構築にも貢献できる新たな取り組みやサービスの開発に取り組んでいきます。

    CO2排出レポート

    飛脚宅配便1個当たりのカーボンフットプリントを算定

    佐川急便では、飛脚宅配便1個あたりのカーボンフットプリント※1を算定しました。環境省による「令和6年度製品・サービスのカーボンフットプリントに係るモデル事業※2」に採択されたことにより実現した取組みとなり、輸送サービスを提供する物流企業が採択されたのは初めてとなります。梱包資材や伝票の生産から、荷物の集荷や輸送、配達、梱包資材の廃棄までの工程ごとのCO2排出量を算定した結果、個人向けのお荷物のCO2排出量は、1.25kg-CO2eとなりました。今回の算定結果を踏まえ、環境負荷の大きい工程に着目してCO2排出量削減に取り組んでいくとともに、カーボンフットプリントの算定結果を伝票に表示するなど利用者への認知にも活用し、さらなる再配達抑制に向けた取り組みを検討、実施していきます。佐川急便はこれからも、環境負荷低減やCO2排出量削減などの取組みを推進し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

    1. ※1
      カーボンフットプリント(CFP)
      製品・サービスの原材料調達から廃棄、リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通した温室効果ガス排出量を、CO2排出量として換算した値のこと
    2. ※2
    飛脚宅配便のCFP算定対象とするライフサイクルステージと構成要素フロー図

    CFPの算定を伝票に表示し利用者の認知を図る

気候変動に関する取り組み

気候変動への適応策

佐川急便では気候変動への適応に向け、以下の取り組みを行っています。

目的
熱中症予防
  • 速乾性あるユニフォームとハーフパンツの採用
  • 営業所構内の設備投資(冷風機・扇風機・シーリングファン)
  • 従業員に対する予防教育(WEB教育・動画配信)
  • 塩飴等、対策品の配布
  • クールファンベストの導入
BCP/BCM
  • エネルギーの多様化
  • 自家用軽油スタンド・天然ガススタンド・EV充電スタンドの設置
  • 電源喪失時の給油対策(足こぎポンプの設置)
  • 停電に備えた電源車の配備
  • 通信網の多重化
  • 備蓄品の分散配備
  • 気象データを活用した「災害対策判断支援サービス」の導入
  • 全国営業所のリスクの可視化
  • BCPに関する各種訓練の実施

気候変動への政策決定者との直接的なエンゲージメント

佐川急便は政府や自治体と災害協定を締結しています。災害時には協定に基づき、各避難所への緊急物資の輸送や物資集積拠点の運営などに協力します。
気候変動の影響による災害への対応に関し、佐川急便が培ってきた災害対応の経験を活かし、一刻も早い災害支援活動を行うためには、自治体などとの日頃からの連携が欠かせません。迅速な支援を可能にするため、政府や全国の自治体、大学、企業などと災害協定の締結を進めています。
また日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)に準会員として参画し、行政や政策立案者、業界団体などとの対話を通じて政府への気候変動問題に対する提言を行うなど、外部のさまざまな団体・プロジェクトに参画し、コミュニケーションを図っています。このほか、(一社)日本物流団体連合会の環境対策委員会委員、気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative)の賛同企業として活動しています。

脱炭素社会の実現を目指すJCLP

TCFD提言に基づく情報開示

取り組みの背景

世界的に脱炭素社会への移行が加速する中、企業においても持続可能な経営の実現が重要となっています。SGホールディングスグループは社会インフラを担う物流企業グループとしての責務を認識し、2019年に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」へ賛同、気候変動問題をグループの重要課題と捉え、2021年7月からTCFDの提言に沿ったシナリオ分析を開始しました。2022年には「脱炭素ビジョン」を掲げ、CO2排出削減目標を設定し気候変動対応の指標・目標として進捗状況を管理しています。本分析は事業継続における気候関連のリスクと機会を把握し、さまざまな事態を想定したうえで対応策を講じることが目的です。今後も社会情勢の変化や技術の進化にあわせて継続的に取り組み、事業戦略との融合やリスクマネジメントプロセスへの包含、社内外のコミュニケーション深化に活用していきます。

参照サイト

分析結果について

更新履歴
第1版 2023年3月31日 発行
第2版 2023年11月17日 一部修正(P5:参照データ③炭素税)

バックナンバー

2022年