KOUHEI URATA 浦田 滉平

SgHope
Hopeが語る、SGホールディングスグループ
SgHope interview

KOUHEI URATA

SGモータース株式会社
営業部 開発課

浦田 滉平

※所属は取材当時のものです

日本の物流を支えるドライバーたちが
“使いやすい”と思うボディを作りたい

荷台の改良、新素材の検証、新製品の開発… 創造する設計者

 私が所属しているSGモータースは、SGホールディングスグループの中で車両事業を担っており、トラックを中心とした車両の整備から、荷台などのボディ製造・販売まで、トータルカービジネス企業としてさまざまなサービスを展開しています。その中でも開発課は、佐川急便が使用するトラックの荷台部分の改良や、架装に使用する新素材の検証、新製品の開発などを担う部署です。

 私は富士工場に勤務し、新製品の研究開発、設計、製図、試作・検証から製品化までの一連の業務に携わっています。佐川急便では、全国のセールスドライバー®が集荷・配達業務のため日夜トラックを走らせています。皆さんがより安全に、より効率的に、そしてより環境への負荷を少なく業務を行えるよう、現場からの要望に応じて新製品を生み出すことが、私たちの使命です。

浦田さんがボディの開発・改良に携わっている、佐川急便のトラック。ドライバーの声から、安全性を高める装備を新たに追加するなど、そのこだわりは細部に及ぶ

自分で作ったものが走っているところが見たい!その思いで設計の道へ

 学生時代は、大学の工学部で機械工学と自動車整備を学んでいました。整備士の資格も取得しましたが、私の夢はあくまでも「設計者」。自分が作り上げた自動車が、実際に走っている姿を見ることができたら、どんなに素敵だろう、と思いを膨らませていたんです。

 SGモータースであればトラックボディ全体の設計に携わることができると聞き、新卒採用に臨みました。そのときの募集職は整備士でしたが、採用担当者に自分のやりたいことを話したところ、開発課でも人材を求めているということで、当時は異例でしたが新卒の設計者として採用となりました。翌年以降は、設計者の新卒採用が定例化し、私の大学の後輩も入社しています。少し恥ずかしいですが、SGモータースの新しい道を切り開いた、という自負があります。

 入社後、半年は工場の現場で架装や溶接等の実技研修を受け、その後設計業務に挑戦することになりました。大学でしっかり設計の基礎を学んだつもりでしたが、実際に製品になるものの図面を引くのは初めての経験です。私が荷台の図面を作成し、工場で荷台を製作していく過程で、入荷しているシャシ(車体)に載せるのですが、想定と違って部品の一部がぶつかってしまい…。慌てて上司に相談したところ、図面と実物を見比べながら臨機応変に加工してくださり、修正を行ってなんとか納車することができました。ホッとしましたが、実務として設計を行うことの難しさを痛感し、次はもっと上手に図面を引けるようになろう、と、気持ちを引き締めるきっかけになった出来事でした。

2024年問題解決につながる「スワップボディ車」を自社開発するために

 これまで経験した中でいちばん印象に残っているプロジェクトは、佐川急便が使用する「スワップボディ車」の自社開発プロジェクトです。

 スワップボディ車とは、トレーラーのように車体と荷台を分離することができるタイプのトラックで、運転と荷役の作業を分割することができるため、ドライバーの業務効率化・労働時間の短縮につながることが期待されています。佐川急便では以前から既製品のスワップボディ車を導入していましたが、今後「物流の2024年問題」対策などのために積極的な増台が必要になることから、SGホールディングスグループ内での内製化を目指すことが、本プロジェクトの目的でした。

 私にとって、1台の製品をまるまるすべて担当するのは、初めての経験でした。まずは業界調査からスタートし、図面を作成し、試作品を製作。このときには、自ら溶接作業も行いました。何度も検証を繰り返し、佐川急便の実際の業務で使われる際にどのような仕様であれば喜ばれるかを考え、社内での製品登録にこぎつけるまでに1年以上を要しました。さらにそこから、実際に製品として世に送り出すまでには時間が掛かりましたが、無事に完成させることができ、達成感を味わうことができました。

 私たちの開発したSGホールディングスグループオリジナルのスワップボディ車は、見た目は一般的なものと大きく変わりませんが、細部に佐川急便での使用を想定したこだわりが詰まっています。荷台を支える脚部の省力化による操作性向上のほか、見えない部分にも力を入れました。

 2024年問題への関心の高まりもあり、スワップボディ車は社外からも高い関心を寄せていただいていると聞いています。自分の仕事がこのように評価していただけると、大変だったけれどやり遂げてよかった、と実感できています。

作りやすく、機能的でかっこいい。第三者目線を意識した設計を

 開発課は全く新しい製品を開発する部署ですので、実は日の目を見ることなく試作で終わるものも多いんです。価格面や実用性など、その理由はさまざまですが、必ずしもお客さまのもとにたどり着かない、というもどかしさを感じることは少なくありません。だからこそ、スワップボディ車のように完成までこぎつけたときの喜びも大きいんです。

 設計者として大切にしていることは、「実際に作る人が加工しやすい製品を設計し、見やすい図面に起こす」ということ。「作業者目線の設計」を突き詰めていきたいと思っています。また、私が携わる製品は、佐川急便のトラックを始め、人目に触れることが多いので、実際に製品を使用する方に喜んでいただけるよう、見た目のデザイン性にもひそかにこだわっています。「作りやすく、機能的で、かっこいい」。それが、私の設計ポリシーなんです。

 この仕事は、なかなかユーザーと直接話す機会がないのですが、それでも「ありがとう」の言葉をもらえるとうれしいです。社内でも、一緒に働くメンバーから「ありがとう」と言ってもらえるよう、どんな仕事をしたら喜んでもらえるかをいつも意識しています。

HOPE-目指す理想とは…

 佐川急便のドライバーをはじめ、トラックのハンドルを握る皆さんが、日夜日本の物流を支えていらっしゃいます。そんな皆さんに、「SGモータースの製品は使いやすい」と思っていただけるようなボディを作ること。それが、今の私のHOPEです。

 また、現在は自動車業界でも環境対策が非常に重要視されており、EV(電気自動車)やFCV(燃料電池自動車)の導入が進んでいます。私たちボディメーカーとしても、自動車メーカーの皆さんと歩調を合わせて、環境に優しい素材選びなどの面で工夫を重ねながら、カーボンニュートラルに貢献できるような、これからの時代にふさわしいトラックボディを創り出していきたいと思っています。