KOTA INO 猪野 康大

SgHope
Hopeが語る、SGホールディングスグループ
SgHope interview

KOTA INO

SGシステム株式会社
SI第1事業部 移動機器系ユニット

猪野 康大

※所属は取材当時のものです

ユーザーと開発者の間をつなぎ
最適な端末の導入で物流の現場を支える

システムエンジニアとして、物流関連機器の開発・導入を管理

 私は現在、SGホールディングスグループでIT統括事業を担うSGシステムに所属し、SE(システムエンジニア)として、主に「移動機器」の開発・導入に携わっています。

 ここで言う「移動機器」とは、集荷・配達といった物流業務の現場で、佐川急便のセールスドライバー🄬などが用いる業務用端末のことを指します。配送伝票の読み取りや集荷・配達状況の入力などを行うハンディ端末の「PDT(ポータブル・データ・ターミナル)」や、PDT機能と通話機能が一体化した「PDTスマホ」、ラベル出力用の携帯型プリンター、電子決済用の決済端末などがあります。

 現代の物流業務はデジタル化が進んでいて、こうした端末とシステムがなければ成り立ちません。私たちは物流の現場を担う佐川急便と連携し、業務の土台となるITシステムの開発・運用・保守を行うことで、共に日本の物流網を支えています。

猪野さんが導入に携わった、最新の移動機器たち。左からPDT、PDTスマホ、決済端末

“文系”の自分が飛び込んだ、奥深いITシステムの世界

 意外に思われるかもしれませんが、学生時代の私はITについて専門的に学んだことはありませんでした。大学では外国語学部で、国際コミュニケーションを専攻していました。異文化コミュニケーションを考えるうえで、パソコンや動画を活用した「メディアコミュニケーション」という手段に触れ、その中で次第に関心がデジタル技術そのものに移っていったんです。

 就職先にSGシステムを選んだのは、「機器(ハード)」と「システム(ソフト)」の両方を経験したいと思ったから。佐川急便の業務をITで支えるSGシステムは、機器の選定・導入支援・メンテナンスからシステム開発・保守・運用まで、社内に幅広いソリューションを持っているので、実際に多種多様な領域に触れることができました。

 SEとしての私の役割を一言で言えば、「要件通りの製品をスケジュール通り納品するために、プロジェクトを推進させること」です。プロジェクト体制図の中心に位置し、ユーザー、開発者、調達先など社内外のあらゆる関係者とつながりを持ちながら、日々の進捗を管理し、いち早く問題を察知して課題解決に奔走。時には、プレイヤーとして実働することもあり、まさに「マルチプレイヤー」だと思っています。

 移動機器の分野は、ハードウェア・ソフトウェア両方の企画提案に始まり、開発・導入、導入後の機能改修から、機器による現場業務の改善まで、対応範囲は多岐に渡ります。その分関係者も多くなるので、それぞれの間をつなぐSEの責任も大きいんです。

約10万台、全国のセールスドライバー🄬が使用する端末の更新に挑む

 私にとって入社以来最大のプロジェクトは、2020年からスタートして今年ようやくリリースにまでこぎつけた、約10万台の集荷・配達業務用端末(PDTスマホ、PDT)を新型機にリプレース(更新)する案件です。

 現場で働く方の要望に叶う端末に仕上げるため、仕様を固めていく要件定義の段階だけでも1年、機器の製造、アプリの開発から導入に2年近くを要しました。まずはユーザーから新型機への要望をヒアリングやアンケートで伺ったのですが、バーコードの読み取り精度や、耐久性と軽量性のバランス、画面の見やすさや持ちやすさなど、時には矛盾するさまざまな声が集まりました。コストと性能のバランスを重視しながら、10社ほどのベンダーに提案依頼を行って端末の選定・開発を進めつつ、端末に搭載する集荷・配達業務専用アプリの開発も並行して行いました。

 関係者が多く、さまざまな意見が集まるからこそ、私は案件の推進担当者として、自分でしっかりとこだわりや思いを持って対応することを心掛けました。それぞれの意見や状況を俯瞰して、タスクに優先順位付けをし、プロジェクトリーダーが的確な判断を下せるように調整するなど、常に「自分に求められる役割は何か」を意識していました。

 試行錯誤の連続で、試作機に対して現場から厳しい評価を受けることもありましたが、むしろはっきりと意見をもらえたことで、ユーザーと一体となって開発を進めているのだと実感できました。試作と改善を繰り返し、ようやくリリースまでこぎつけたときに、プロジェクトリーダーや佐川急便の関係者から「猪野さんがいてくれて良かった」という言葉をいただき、それが何よりもうれしかったです。自分が「役割」を意識して動いたことは正しかったのか…その答えが出たのだと感じましたね。

ユーザーと開発側との“通訳”になるのが、SEの役割

 端末の開発に従事するプログラマーや製造者と、実際に物流の現場で使用するユーザーとの間には、意思疎通の面でどうしても隔たりがあります。開発側の専門的な説明をそのままユーザーに伝えるのは不親切ですし、ユーザーのさまざまな要望を整理せず開発側に依頼するわけにもいきません。その点で、SEの仕事とは、「ユーザーと開発側との“通訳”になること」だと、私は考えています。ITに関する知識や経験ももちろん大切ですが、何よりもコミュニケーション能力が大事になる職種です。……そう思うと、これまで意識したことはなかったのですが、学生時代に国際コミュニケーションを学んでいたことも、今の仕事につながっているのかもしれません。

 休日に街中を歩いていて、私が携わった端末を持っているセールスドライバー🄬の姿を見ると、「恥ずかしい仕事はできない。彼らを支えるのが私の役割なんだ」という実感が湧きます。物流という社会インフラに携わることのできる、やりがいのある仕事です。

HOPE-目指す理想とは…

 入社以来、大小さまざまなプロジェクトに参加し、社内・社外を問わずたくさんの人に支えていただいて、自分の可能性を大きく広げることができました。先ほどお話しした通り、私は文系学部の出身で、ITの知識がないまま業界に飛び込んだので、こんなにいろいろな領域に携わることができるなんて思っていなかったんです。当社でもまだ、私と同じような経歴を歩んだ人は少ないですが、得意分野の生かし方次第で、さまざまな経歴の方に活躍の可能性があると思います。今後は後輩たちにもこのような私の経験を伝えることで、自分だけでなくチーム、会社、そしてSGホールディングスグループ全体の可能性を広げられるようになっていきたい。それが、今の私のHOPEです。