阿蘇くじゅう国立公園は、昭和9(1934)年に誕生しました。本公園の大きな特長は、大カルデラにそびえる阿蘇山やその北に連なるくじゅう連山などの火山群、そして、その周囲に広がる雄大でなだらかな草原です。
公園南部の阿蘇山の周辺では、噴煙をあげる中岳の火口や美しい円錐形をした米塚、広大な草千里ヶ浜、それらを取りまく火口原と外輪山など、雄大で素晴らしい風景を連続して見ることができます。
また、公園中部のくじゅう連山の周辺では、あちらこちらで硫気現象がみられ火山特有の風景地が点在するほか、久住高原や飯田高原などの広大な草原、さらにはタデ原湿原や坊ガツル湿原など学術的にも貴重な湿地など、見どころが豊富な地域です。
公園北部には、別府や湯布院などの温泉の源でもある鶴見岳や由布岳が美しい山容を誇っており、山稜からは別府湾から由布院盆地、くじゅう連山までを一望することができます。
由布岳
由布院の背後にそびえ、秀麗な山容から豊後富士と呼ばれています。
山麓部は野焼きによる草原景観が広がり、秋には中腹の紅葉が見どころです。
放牧利用している草原(短草型)
植物
本公園の生態系は、火山性ガスが噴気する硫気荒原のほか、山麓部に広がる樹林、野焼きや採草により維持されている草原の大きく3つに区分されます。
硫気荒原は過酷な環境に適応した動植物による特異な生物相が成立し、樹林は二次林や自然林などさまざまなタイプの森が多様な動植物を育んでいます。草原は、人の利用や管理によって植生が異なり、野焼き・採草などを続けることでススキなどが優占する長草型の植生や、放牧の牛馬による採食でシバなどが優占する短草型の植生などが見られ、それぞれ特徴的な動植物を育む生態系を有しています。
小松地獄
自然噴気地帯で、熱湯や水蒸気、泥土が噴出する特異な景観を呈しています。散策路が整備されており、火山のエネルギーを間近に感じながら景色を楽しむことができます。
黒岳自然林
黒岳は山頂まで自然林に覆われており、ブナやオヒョウなどが多く見られます。登山口に位置する男池、白水鉱泉、かくし水などは、名水としても知られています。
※写真:環境省提供